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  • 日本発の360度カメラ「IQUI」は、気軽に“全天球コンテンツ”をシェアする用途ならベストな選択肢になる:製品レヴュー

周囲の景色を一度に撮影できる360度カメラ(全天球カメラ)を発売するタイミングとして、2020年は最も不向きな年だと言っても過言ではなかった。「友人たちと楽しむ様子を360度視点で撮影しよう!」といった用途は、コロナ禍の2020年らしくなかったのである。

リコーからスピンアウトしたベクノス(Vecnos)は、それでもコロナ禍による社会生活の崩壊に直面しながらも、360度カメラ「IQUI(イクイ)」の改良を進めてきた。一般的な360度カメラとは異なり、IQUIはアクションカメラではない。21年6月16日には本体のカラーに新しい色が加わったほか、スマートフォン用のアプリが大幅にアップデートされている。

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360度の全天球動画や写真を気軽に撮影

360度を撮影した全天球のコンテンツは、まだ主流と呼べるほどの人気を獲得していない。その主な理由は、360度カメラで撮った素材が扱いづらい点にある。

スマートフォンや一般的なカメラで撮った動画とは異なり、全天球カメラで撮った写真や動画をオンラインで共有するには、そのデータを“平面”に変換しなければならない。360度の写真に“小さな地球儀”のような画像データを用いることが一般的なのは、そのほうがオンラインで最も共有しやすいからだ。

日本発の360度カメラ「IQUI」は、気軽に“全天球コンテンツ”をシェアする用途ならベストな選択肢になる:製品レヴュー

このルールの例外がFacebookである。Facebookでは、友達が自由に回したり傾けたりできる360度の画像を共有できる。だが、InstagramやTwitterなどに360度の動画や画像を投稿する場合は、事前に編集しておかなければならない。動画を事前に調整しておかないとウェブに投稿できないと聞けば、誰でも自然に足が遠のいてしまって当然だろう。

そんな360度の素材が足がかりを見つけた場所がある。アクションカメラ市場だ。このカテゴリーの大手ブランドであるGoProやInsta360が360度カメラを発売していることも理由のひとつだが、同時にそれは自然な流れでもある。

カメラを頭に固定し、マウンテンバイクを傾斜が30度の坂に向けるとき、どんな世界が待っているのかは誰にもわからない。もんどり打って転倒する瞬間を正面から撮影すれば、確かにいい映像になるかもしれない。だが、何を見て気をとられて転倒したのか、その理由までは記録できていないかもしれない。カメラの視界の外側に一瞬だけ現れた未確認生物のビッグフットのような存在は映らないのだ。

それが360度カメラで撮った映像なら、転倒シーンの前に戻って周囲の様子を確認できる。編集ソフトでビッグフットにパンしてから再びマウンテンバイクの様子にパンして、豪快に転倒する様子を見せるようなこともできるわけだ。

動画の編集には手間も時間もかかる。それに作業に必要なソフトウェアのほとんどは、高性能な(もちろん値段も高い)ハードウェアがなければ動かせない。フォローしているYouTubeチャンネルで動画を観ていると、どれもプロっぽい映像を簡単につくっているように見えるのに──と思うかもしれないが、実はとんでもない量の作業をこなしているのだ。その作業量たるや、せいぜい20人くらいにInstagramで360度の動画をシェアするときには決してしないようなレヴェルである。

ベクノスはIQUIによって360度の写真や動画の撮影と共有を簡単にすることで、こうした障壁のほとんどを取り除こうとしている。このうち撮影のほうについては、大部分が達成できていると言っていいだろう。

説明書いらずの直感的な操作

IQUIは360度カメラを、アクションカメラ派ではないアマチュアの人たちにも親しみやすい存在にすることに貢献している。いちばんの理由は、おそらく取扱説明書がなくても使える唯一の360度カメラであるということだろう。